Dedicate for Gharib Nawaz Dargah

聖者廟へ奉納演奏をしに行く。

ムスリムである音楽家集団Dhoad(ドード)は、海外へ演奏しに行く前に、公演の成功とその旅路の安全を祈願するために、そして全ての道を開いて導いてくれたことへの感謝を表すために聖者廟へ奉納演奏をしに行きました。(この時は日本公演への願掛けでした。)

彼らの地元、ジャイプールからアジメールへ。そこは、イスラム教信者にとっての聖地です。スーフィー(イスラム神秘主義)の聖人を祀る廟があり、ムスリムのみならずヒンドゥー教徒の人々にとっても熱い信仰の場となっています。それが、フワージャ・ムイーヌッディーン・チシュティーのダールガー(廟)(Kwaja Muinuddin Chishti Dargah)です。ここは、色々な呼び名があり、この聖人ムイーヌッディーン・チシュティーの別名をとって、ガリーブ・ナワーズ・ダールガー(Gharib Nawaz Dargah)とも呼ばれています。

廟の周りには歴代の皇帝達によりモスクや門などが建てられ、今の壮大な姿になったのだそうです。

沢山の巡礼者とともに、廟に祈りを捧げました。そして、外の広場に神の道を空け、静かにすわります。

祈りを音の波にのせて、感謝を語らず歌にのせて、届けます。

それは、一方的な表現ではなく、個々が神と繋がる時間なのでしょうか。

コンサートや舞台上の彼らの表情とは全く違う、厳粛な継続的な瞬間。

自身の民謡音楽を愛し、腹の底から古典詠唱をこなし、そしてまた、聖者を讃えるスーフィー音楽も身に染み付いている。彼らの奏でるものは、彼らの『生』そのものなのでしょう。

にわかに始まる演奏に引き寄せられて沢山の巡礼者が周りを取り囲みます。巡礼者は、イスラム教徒だけではなくヒンドゥー教徒などあらゆる宗教の人々がここへ祈りを捧げに足を運んでいるのです。

彼らの音に真剣に耳を傾ける巡礼者達。ハルモニウムの上には、その音に自分の祈りものせようとたくさんの他の巡礼者たちによる紙幣がいつの間にか集まっていました。

聖職者が見守る緊張感漂う中、いくつかの演奏が終わると私たちは速やかに立ち上がりました。そこで、私はつい拍手をしそうになったのですが、ここは聖なる場所、神の場所です。誰一人、この素晴らしい演奏に拍手はしないのです。この演奏は、神に捧げたものだからです。

そして、人々は静かに去っていきました。各々の祈りのために。

宮廷楽師の家系という歴史的背景、伝統があり、この土地の文化があり、そして祈りがある。聖者の宮廷とも言える廟で、彼らの本領が発揮されたのでしょう。それがDhoadの音であり、生き方なのです。

成功の暁にはお礼参りに再び訪れるのでしょう。

※撮影は許可を得ています。カメラ付き携帯で撮影する方もいらっしゃいましたが、カメラの持ち込みは禁止されていることがあります。特に、外国籍である観光客である場合、注意が必要です。

※ All photograph has received permission.

text by Kei Hompo