Dedicate for Baba Ramdev-ji  ; Terah Taali

ババ・ラームデーヴ・ ジは、インドの北西部のラジャスタンの民間に伝わるヒンドゥー教の英雄神です。

信仰は、ヒンドゥー教徒のみならず、ムスリムやシーク教徒にも及び、宗教を越えた偉業が窺われます。

遠くから旅をして、ラームデーヴジ信仰の本拠地のラームデーヴラを訪れる人々が後を断ちません。そこにはラームデーヴジが眠る廟があります。

12年以上をかけて、南インドのタミルナドゥから地面を転がりながら巡礼するような人もいます。このような巡礼者は、政府によって守られています。それほど民間に広く深く崇拝されているのです。

偉大なものを讃える方法は様々。ラジャスタンのカーマル(Kamad)の人々はテーラターリという奉納舞踊と賛歌でラームデーヴジを讃えます。

ラジャスタンに伝わる美しい伝統芸能の一つとして知られています。

テーラターリは、賛歌(バジャンBhajan)で使用される小さなシンバル、“マンジーラ(manjira)”を13(Terah)個用いるのが特徴です。座位で、体につけたマンジーラを打ち鳴らしリズムを刻み、生演奏の楽団と共に行います。生活の中で育まれ出来上がっていった祈りの芸能は、いつしか広く大衆のために舞台化され披露されるようになってきました。

ラームデーヴジがどれだけ人々を救ったかの偉業を讃えている楽曲はいくつもあり、特に“Ramsa Pire”(ラムサピール)はラジャスタンの伝統音楽の中でもよく知られています。

インド国外でも活躍する音楽家集団Dhoad(ドード)は長らくこの地へ奉納演奏しに来ることを望んでいました。伝統と古典を、祈りを大切にする彼らもまた舞台で何度もラムサピールを演奏してきました。それをラームデーヴジ信仰の本拠地で奉納演奏することはやはり大きな意味があります。

そして、遠く離れた日本から幼い少女を含む3人が、テーラターリでラームデーヴジに祈りを捧げようとインドへ来ました。偉大な存在への尊敬を表す心は世界に広がっています。

そうして彼らは文字通り、国も人種も宗教も越えた集団となり、砂漠の中を旅して、ラームデーヴラへ向かうこととなったのです。

この日の、奉納を果たすためだけに集まりました。古い音楽家仲間を村まで迎えに行き、ジャイプールからラームデーヴラがあるポカランまで500㎞以上の道のり。

日常的に奉納演奏が行われている聖者廟。祈りの心が音楽や芸能の質を高めていくのだそうです。

世界にラジャスタンの民俗伝統芸能を披露しているDhoadと、はるばる日本人が奉納しに来たということを聞きつけた地元メディアからの依頼で再度奉納を実践する運びとなり、ラームデーブジの子孫の方にお会いする機会にも恵まれました。

演奏を聞きつけて集まった人だかり。巡礼に来ていた女性たちがにわかに踊りはじめました。祈りの音に、自らをのせているかのようで、それは、ごく自然な行為に見えました。

そうして、人の数だけ、祈りの数だけ、芸術は生まれるのでしょう。

text by Kei Hompo

 

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